
藤野観光案内所ふじのね
特産品や在住アーティストの作品を販売
気軽に立ち寄れる、藤野地域の玄関口
JJR中央本線藤野駅の改札を出てすぐ右側に、額縁を模したアート作品が出迎える「藤野観光案内所ふじのね」はある。藤野は「芸術の町」として知られ、今も数多くのアーティストやクリエイターが暮らしている地域だ。駅前に観光の拠点をつくる計画が持ち上がったとき、「普通の観光案内所をつくっても面白くない」と在住芸術家らから声が上がり、解体された築300年の古民家の古材を再活用して、ギャラリーのような空間をつくることになった。2009年にオープンし、以来、藤野地域の玄関口として観光客、地域住民の双方に慣れ親しまれている。
里山の暮らしの跡が刻まれた古材に囲まれていると、どこかホッと落ち着く気持ちになる。ふと天井に目をやると、カラフルに染められた大きな布がいくつも吊るされていた。これは、地域のアートイベントの一環で、地元の中学生と一緒に染めた布を飾ったのだそうだ。

オープン時からふじのねに勤めるチーフマネージャーの鈴木恵代さんは「始まった当初は『芸術の町・藤野』をPRするという意味合いが大きかったように思います。でも10年ぐらい前に登山ブームが起こって、ハイカーのお客さんがどんどん増えていった。私たちも山のご案内をすることがメインになっていきました」と振り返る。
今は、ハイカーのお客さんがいちばん多く、次いで大きなイベントの来場客や特産品などを買い求める地元の方々の来店が多いそうだ。
フリーペーパーや案内マップ、イベントのチラシなどもたくさん置いてあるから、ここにくれば藤野地域の情報はひと通り集められると言っていいだろう。

圧巻なのは、ちょっとした道の駅ぐらいはありそうな商品ラインナップの多さ。相模原市緑区の特産品や工芸品、ハイカー向けのおやつや軽食、飲み物のほか、藤野とその周辺で暮らすアーティストの作品がびっしりと展示販売されている。陶器、ガラス食器、アクセサリー、オブジェ、絵ハガキ、CD、本など、どれも個性豊かで一つ一つ見ていくだけでも楽しい。奥の一角では毎月、月替わりの企画展も開催されているから、いつ来ても飽きることがない。これだけのアーティストがすべてこの周辺で暮らしていると聞くと、驚く観光客も多いと言う。
「ふじのねは、藤野駅で降りた方々が最初に立ち寄る場所です。つまり、ふじのねが藤野の第一印象を決めるんですね。だから少しでも『いいところだな』と思ってもらえるようにしていきたい。行きにご案内した方が、帰りも寄って『来て良かった! ありがとう!』って声を掛けてくれたりすると、この仕事をやっていてよかったなと思います」 と鈴木さん。

最近では、ふじのねでの買い物だけを目当てにわざわざやってくる人もいるのだとか。地域の魅力を可視化し、お店としてのポテンシャルも発揮しつつある。ふじのねという場が、地域の観光と経済、そして在住アーティストやクリエイターの活動を支えている。
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「藤野観光案内所ふじのね」
JR中央本線藤野駅改札出て右側すぐ
住所:神奈川県相模原市緑区小渕1702-3
TEL:042-687-5581
営業時間:8:30~17:00
定休日:年中無休(年末年始のみ休業、悪天候時は臨時休業の場合あり)